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第1回アンケートについてのご報告

​2020年5月11〜31日に実施した第1回

教師による生徒への性的経験・性暴力被害アンケートの集計結果をご報告します。

アンケートにご協力いただいた多くの皆様に深く感謝申し上げます。

【このアンケート調査の目的】

・「先生」「コーチ」「教師」と呼ばれる、指導者の立場から生徒への性的経験、性暴力の実態調査です。

回答者が「犯罪」「被害」と自覚していないケースも想定して、「性的経験」という言葉を使うことで、幅広く情報を得ることを目指しました。

・教師による性暴力を表すのにレイプなども含めて「スクールセクハラ」という言葉を一部の記者や NPO 等が使っている現状についてどう思うか、教師など教育者による性暴力に対する認識を把握するために実施しました。


【回答総数】731回答
【有効回答】726回答


【作成・集計】石田郁子 

【作成・集計協力】札幌市中学校教諭性暴力事件被害者を支える会

【アンケートの募集方法】

札幌市中学校教諭性暴力事件被害者を支える会のTwitter、Facebookアカウントからのインターネット上での呼びかけがメイン。雑誌「週刊金曜日」「ふぇみん」にも記載。


【アンケートの記入・回収方法】

インターネット上でGoogleフォームに入力、送信。


【回答対象者】

質問を理解し回答できる方であれば、どなたでも回答可能。

集計結果

( )内は、回答数。

① 学校の教師から、在学中または卒業後に、以下のような性的な経験、性暴力被害にあったことはありますか?


・性的な経験、性暴力被害にあったことがある

 42.4%(304)

・覚えていない、わからない

 4.2%(30)

・上記のような経験はない

 53.4%(383)


◯① 性的な経験、性暴力被害の回答の内訳(複数回答可)


・体や容姿に関すること或いは性的な発言・会話をされる

 41.1%(204)

・体を触られる、触らせられる

 29.2%(145)

・衣服をめくられる、触られる

 8.5%(42)

・性的な行為をされる、させられる

 7.7%(38)

・自分の姿を撮影される、させられる

 4.8%(24)

・性的な画像を見せられる

 2.8%(14)

・その他

 5.8%(29)


② ①で、性的な経験・性暴力被害があると答えた方で、可能でしたら具体的に(いつ、どこで、誰が誰に、何を)ご記入お願いします。


*別表(非公開)


③ 学校以外の環境、塾、習い事、スポーツ教室などのコーチや先生から、以下のような性的な経験、性暴力被害にあったことはありますか?


・性的な経験、性暴力被害にあったことがある

 17.3%(119)

・覚えていない、わからない

 8.2%(56)

・上記のような経験はない

 74.6%(510)


◯③の性的な経験、性暴力被害の回答の内訳(複数回答可) 


・体や容姿に関すること或いは性的な発言・会話をされる

 37.3%(75)

・体を触られる、触らせられる

 29.9%(60)

・性的な行為をされる、させられる

 11.9%(24)

・衣服をめくられる、触られる

 10.9%(22)

・自分の姿を撮影される、させられる

 6.5%(13)

・性的な画像を見せられる

 1.5%(3)

・その他

 2.0%(4)


④ ③で、性的な経験・性暴力被害があると答えた方で、可能でしたら具体的に(いつ、どこで、誰が誰に、何を)ご記入お願いします。


*別表(非公開)


⑤ 自分の周りの知っている人が、学校の教師から、在学中または卒業後に、以下のような性的な経験、性暴力被害にあったという話を聞いたことがありますか?


・聞いたことがある

 42.2%( 297)

・覚えていない、わからない

 14.7%(103)

・上記のような経験はない

 43.1%(303)


◯⑤の性的な経験、性暴力被害の内訳(複数回答可) 


・体を触られる、触らせられる

 29.9%(163)

・体や容姿に関すること或いは性的な発言・会話をされる

 28.1%(153)

・性的な行為をされる、させられる

 15.8%(86)

・衣服をめくられる、触られる

 10.6%(58)

・自分の姿を撮影される、させられる

 8.3%(45)

・性的な画像を見せられる

 3.1%(17)

・その他

 4.2%(23)


⑥ ⑤で、聞いたことがあると答えた方で、可能でしたら具体的に(いつ、どこで、誰が誰に、何を)ご記入お願いします。(複数回答可)


*別表(非公開)


⑦ 自分の周りの知っている人が、学校以外の環境、塾、習い事、スポーツ教室などのコーチや先生から、以下のような性的な経験、性暴力被害にあったという話を聞いたことがありますか?(複数回答可)


・聞いたことがある

 14.6%(98)

・覚えていない、わからない

 22.6%(151)

・上記のような経験はない

 62.8%(421)


◯⑦の性的な経験、性暴力被害の内訳(複数回答可)


・体を触られる、触らせられる

 26.9%(50)

・性的な行為をされる、させられる

 24.7%(46)

・体や容姿に関すること或いは性的な発言・会話をされる

 19.4%(36)

・衣服をめくる、触られる

 11.3%(21)

・自分の姿を撮影される、させられる

 8.6%(16)

・性的な画像を見せられる

 6.5%(12)

・その他

 2.7%(5)


⑧ ⑦で、聞いたことがあると答えた方で、可能でしたら具体的に(いつ、どこで、誰が誰に、何を)ご記入お願いします。


*別表(非公開)


⑨「スクールセクハラ」という言葉を知っていますか?


・知っている

 52.4%(377)

・知らない

 47.6%(342)


⑩「スクールセクハラ」という言葉を聞いて、どう思いますか?具体的にどんなイメージを想像しますか?


・学校セクハラ(教員から生徒、教員同士、生徒同士のセクハラ等)

 56.8%(338)

・言葉が軽い

 12.8%(76)

・性暴力、性犯罪、虐待、人権侵害

 11.8%(70)

・卑劣、怒り、許せない、怖い、気持ち悪い、など

 8.2%(49)

・犯罪ではないが性的に不快な経験(軽く触る、言葉など)

 4.5%(27)

・その他

 5.9%(35)


⑪「スクールセクハラ」は、主に教師による学校での性犯罪を意味し、レイプも含むとされています。「スクールセクハラ」という言葉が、教師による生徒への性暴力を表す言葉として適切だと思いますか?


・適切ではないと思う

 66.7%(483)

・適切だと思う

 13.7%(99)

・わからない

 19.6%(142)


⑫ ⑪の質問で、「適切だと思う」を選んだ方、理由をお答えください。


・わかりやすい

 28.4%(27)

・学校という場所で起こることが伝わる

 20.0%(19)

・教師が加害者だという事が伝わる

 17.9%(17)

・セクハラという言葉の認知度が高く、広範な被害を含められる

 16.8%(16)

・それ以外思いつかない

 5.3%(5)

・その他

 11.6%(11)


⑬ ⑪の質問で「適切ではないと思う」を選んだ方、理由をお答えください。(複数回答あり)


・性犯罪/性暴力/性虐待という事が伝わらない

 30.6%(262)

・セクハラという言葉では軽い

 25.9%(222)

・加害者が教師だとわかりにくい

 13.1%(112)

・被害内容、意味が曖昧

 5.1%(44)

・被害の深刻さが伝わらない

 4.4%(38)

・教師の立場、上下関係を利用した悪質な犯罪という事がわかりにくい

 4.1%(35)

・被害イメージの矮小化につながる

 3.5%(30)

・その他

 2.9%(25)


⑭ ⑪の質問で、「適切ではないと思う」を選んだ方にお聞きします。教師による生徒への性暴力を表す言葉として、どのような言葉が適切だと思いますか。ご自由にお書きください。(416回答、複数回答あり)


・特定の言葉は不要(性暴力、罪名など他の性犯罪の呼称)

 28.6%(126)

・「教師」「教員」を含む言葉(「教師による性犯罪」など)

 15.4%(68)

・学校を表す言葉を含む言葉(「学校内性暴力」など)

 15.2%(67)

・教師と生徒を含む言葉(「教師による生徒への性暴力」など)

 12.2%(54)

・カタカナ英語を含む言葉(スクールレイプ、セクハラなど)

 9.3%(41)

・被害者のみ含む言葉(生徒、子ども、未成年など)

 3.4%(15)

・その他(教育機関、指導者など)

 11.1%(49)

・思いつかない、わからない

 4.8%(21)


◯️回答者の性別(718回答)


・女性

 83.1%(600)

・男性

 14.5%(105)

・その他

 2.4%(17)


◯️回答者の年代(718回答)

10代

  17.4%(125)

20代

  26.9%(193)

30代

  24.5%(175)

40代

  20.6%(148)

50代

  8.8%(63)

60代

  1.1%(8)

70代

  0.7%(5)


◯回答者の居住地(672回答)都道府県別に回答


北海道

 22.6%(152)

東北

 2.2%(15)  

関東

 46.4%(312)

東海

 6.7%(45)

北陸・中越

 3.4%(23)

関西

 9.2%(62)

中国・四国

 3.4%(23)

九州・沖縄

 5.3%(36)

その他(海外在住4、小中高それぞれ別の県1)

 0.7%(5)

教師による性的行為・性暴力被害アンケート(第1回)からの分析​​

前半:学校教師による生徒への性暴力について

(1)安全と言われる学校で、40%以上の性的な被害

刑法には抵触しなくても、明らかに誰がされても不快な発言や行為ばかりであり、虐待と言っても差し支えないものがほとんどだった。

(2)授業の延長、生活指導の延長など、間接的な形が多い

学校は、生徒にとって生活の大半を過ごす場所であり、教師による生徒への性加害は、衣食住全般にわたる範囲で行われている。生徒の体の成長について指摘したり、生徒をかわいがっているという素振りや授業内の指導の補助などで行われており、生徒にとっては普段の授業や生活と違う違和感を感じても、気づくことも指摘することも容易ではないと思われる。

(3)大勢の生徒がいる授業中でも被害が起こっている

体育の授業で被害が起こりやすいことは想像できると思うが、性的な言葉を書かせる、性的な画像を見せられる、教師の私的な性的な体験を聞かせられるなど、授業内容と直接関係なくとも被害が起こっていた。

(4)教師だけではなく、学校医や学校を出入りする人間からの被害

教師による被害ということで、回答結果には反映しなかったが、健康診断の時に「女子のみ上半身裸にされる」「健康診断で胸を触られた」など、学校外の者からの被害もあった。ほとんどは健康診断の医師からであった。教師が管理しきれていない状態が垣間見える。

(5)複数の生徒が同じ教師から被害にあっていても声をあげられない

集計から、自分も同級生も同じ被害にあっていても教師に対し直接伝えられていないと思われた。子どもが、大人である教師が懲戒処分になるような事件のことを直接解決するのは困難であり、大人の介入が必要である。ただ保護者から校長に言っても隠蔽されたケースがいくつか見られ、学校の管理体制に問題があると言わざるを得ない。

(6)複数の教師が他の教師による加害に気づいていても通報していない

教師は基本的に一人でやる仕事であり、他の教師の仕事に介入したり、意見を言う機会がないので、問題行動を見つけてもどう言っていいかわからない又は関わらないようにするのではないかという懸念。

(7)一見ポジティブな発言や行為も不快な経験

「交際したい、結婚したいと言われた」「教師と交際していた」という回答が複数あった。対等な関係であればポジティブに捉えられる言葉も、大人である教師から未成年の生徒に向けてされた場合、恐怖や圧迫感、違和感を感じさせる可能性があり、交際そのものに違和感を感じているから、アンケートの回答に出てくるとも言える。
*学校の教師以外の教育者については業種など幅広いため、はっきりした傾向はわからなかったが、学校の教師より距離感が近い印象があった。また大会など移動があるケースもあり、学校の教師に比べて「親しみやすい大人」という側面があると思われる。それ以外の点については、上記の学校の教師による被害とほぼ共通すると思われる。

後半:一部の人が使う「スクールセクハラ」という言葉について

多くの人がカタカナやセクハラという軽い言葉や語感は深刻さが伝わらないと考え、学校を聖域とせず他の性犯罪と同様に特別な言葉はいらない、性暴力、犯罪とはっきりと書くべきだという意見だった。被害の回答では、加害者の教師が人の気持ちを傷つけることの意識が薄いのに対し、回答者の毅然とした態度は非常に対照的に感じられた。

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